Zeimeeと福岡で挑んだ2ヶ月【前編|経営管理ダッシュボード】




約2ヶ月前。

僕は、Zeimee共同代表・佐次本さんが書いたNOTEを読みました。

「税理士事務所に1ヶ月住み込んで、会計AIを作ってきた話」

実は、それ以前にも一度Zeimeeの話を聞いたことがありました。

その時の僕の認識は、

「最近増えている、会計業務をAIで効率化するシステム会社の一つ」

正直、そのくらいでした。

でも、このNOTEを読んで印象が大きく変わりました。

完成したシステムを持ってきて、

「これを使ってください」

という会社ではなかった。

実際に税理士事務所の現場に入り、

スタッフと話し、

仕事の流れを見て、

使ってもらいながらシステムをつくっていく。

「現場に入り込んで、一緒に仕事そのものを変える。」

その姿勢に、俄然興味が湧きました。

すぐに問い合わせをして、オンラインMTGを実施。

そこで僕は、

「福岡の事務所に実際に入って、一緒につくってほしい」

とお願いしました。

すると、その場で、

翌週から福岡に入ります。

とコミットしてくれました。

早かった。

そして、その熱量が嬉しかった。

だから僕たちも決めました。

Zeimeeがそこまでコミットしてくれるなら、僕たちもコミットしよう。

福岡での滞在用に、RICK側でマンスリーマンションを借りて提供しました。

ホテル代を安くしたかったわけではありません。

このプロジェクトを、

本当に成果につなげたかったからです。

実際、途中で滞在期間を延長する際にも、僕はチャットで、

「貴社もコミット頂いているので僕らもコミットしたいです」

と伝えていました。

そこから約2ヶ月。

Zeimee共同代表の岩﨑琉晟さんが何度も事務所に足を運び、RICKのメンバーと直接コミュニケーションを取りながら開発を進めてくれました。

今回お願いしたテーマは、大きく2つです。

AIを活用した記帳業務の効率化。

そして、

経営管理・生産性管理ダッシュボードの開発。

今回はまず、後者について書きます。

なぜ今、「生産性」だったのか

RICKは、創業以来14期連続で売上を伸ばしてきました。

僕自身、

「成長」という言葉をとても大切にしてきました。

だから、

売上を伸ばすことの難しさも、

価値も、

必要性も、

よく分かっているつもりです。

売上が伸びたから、

仲間を増やすことができた。

新しいサービスに挑戦できた。

お客様に提供できる価値も広げることができました。

だから、

「売上を追う経営が間違っていた」

とはまったく思っていません。

ただ、

組織が大きくなるにつれて、

もう一つの数字を強く意識するようになりました。

その売上をつくるために、僕たちは何時間使っているのか。

売上が伸びても、

それ以上に労働時間が増え続ける。

忙しいから、また採用する。

人が増えたから、また売上を増やす。

この繰り返しだけでは、

僕たちが目指す会社には届かない。

そこで15期を迎えるにあたり、

経営の軸を大きく変えました。

「売上・人数を増やす経営」から、
「限られた時間の中で、より大きな価値を生み出す経営」へ。

売上を見ないわけではありません。

売上に、

時間という軸を加える。

その中心に置いたのが、

人時生産性です。



8月28日、僕がZeimeeに送った要件定義

岩﨑さんから、

「MyKomonのどのデータを、どんな切り口で見たいですか?」

と聞かれました。

そこで僕が送った要件定義の冒頭には、

こう書きました。

「誰が・どの顧客に・どの業務で・何時間使い・いくらの売上・価値を生み出しているかを可視化する。」

見たかったのは、

単なる売上ランキングではありません。

全社。

チーム。

担当者。

クライアント。

サービス。

個別業務。

経営数字に何か変化があったとき、

原因まで掘り下げられる状態にしたかった。

最上位の指標は、

人時生産性 = 担当売上 ÷ 総労働時間

さらに、

人時生産性 = クライアント業務時間単価 × 稼働率

まで分解します。

なぜここまで分けるのか。

理由は、

「生産性が低い」という数字だけでは、何を改善すればいいか分からないからです。



数字は、人を責めるために使わない

例えば、

あるスタッフの時間単価が低かったとします。

その数字だけを見れば、

「もっと効率良く仕事してください」

と言いたくなるかもしれません。

でも、

本当にその人の能力だけが原因でしょうか。

そもそもの契約単価が低いのかもしれない。

契約外の仕事を多く引き受けているのかもしれない。

資料回収に時間がかかっているのかもしれない。

社内の業務プロセスに問題があるかもしれない。

教育やマネジメントを多く担っている可能性もあります。

だから今回、

原因を、

PRICE / HOURS / SCOPE / CLIENT / PROCESS / SKILL

まで分解できるようにしました。

そして要件定義には、

明確に書いています。

「数字は、人を責めるためではなく、構造を改善するために使う。」

これは、

今回の生産性管理で最も大切にしている考え方の一つです。

生産性管理は、

社員をもっと急がせるためのものではありません。

むしろ、

社員が頑張り続けなければ成立しない構造を、経営側が見つけるためのもの。

僕はそう考えています。

「稼働率が高ければ良い」でもない

もう一つ、

こだわったことがあります。

稼働率です。

一見すると、

お客様の仕事をしている時間が多ければ多いほど良さそうです。

でも、

予定の100%がお客様への直接業務で埋まっていたら、

いつ学ぶのでしょう。

いつ後輩を育てるのでしょう。

いつAIを試すのでしょう。

いつ業務改善をするのでしょう。

これらは、

今月の売上には直接つながらないかもしれません。

でも、

来年の価値をつくる大切な時間です。

だから、

アンチャージ時間をすべて「ムダ」とは考えない。

教育。

AI・DX。

営業。

業務改善。

商品開発。

こうした未来をつくる時間と、

手待ち、探し物、二重作業のような本当に減らしたい時間を分ける。

要件定義でも、

「稼働率が高ければ高いほど良いという評価にはしない」

と最初から決めました。

8月28日に要件を出して、9月16日には8割完成

ここからが、

Zeimeeのすごかったところです。

MyKomonのデータ。

顧客別の売上管理Excel。

担当者情報。

給与データ。

僕たちが持っているデータを次々に共有しました。

9月16日。

岩﨑さんから、

「ダッシュボード8割程度完成しました」

という連絡が来ました。

すでに実データが反映され、

数字が動くところまで来ていました。

ただ、

本当の共同開発は、

ここからでした。

「あれ、この数字違うよね?」

実際の数字を見てみると、

次々に違和感が出てきます。

担当者売上は、

投下時間で按分していいのか。

顧問料と記帳代行料は、

同じ担当者に持たせるのか。

決算料を請求した月だけ、

その人の生産性が急上昇していいのか。

単月ではなく、

直近12ヶ月で見た方がいいのではないか。

僕自身、

チャットで、

「こちら僕の意図がうまく伝えられなかったかもです💦」

と送ったこともあります。

すると、

また話す。

認識を合わせる。

修正する。

使う。

また違和感を伝える。

この繰り返しでした。

でも、

これこそ僕が最初のNOTEを読んで惹かれた、

「現場で一緒につくる」

ということだったんだと思います。

システムをつくると、経営者の曖昧さまで見えてくる

今回、

非常に面白かったことがあります。

システムをつくるためには、

僕たち自身が、

経営管理のルールを決めなければなりません。

「売上とは何か」

「誰の売上なのか」

「総労働時間には何を含めるのか」

「教育時間をどう考えるのか」

「決算料はいつの売上として管理するのか」

Excelでは何となく処理できていたものも、

システムは、

曖昧なままでは動いてくれません。

つまり、

Zeimeeにダッシュボードをつくってもらっているようで、

実は僕たち自身が、

「RICKは、何を良い経営だと考えるのか」

を問い続けられた2ヶ月でもありました。

これも、

非常に大きな収穫でした。

見たいのは「数字」ではなく、その原因

僕が欲しかったのは、

きれいなグラフではありません。

例えば、

全社の人時生産性が落ちた。

そこで終わらない。

時間単価が落ちたのか。

稼働率なのか。

どのチームか。

どの担当者か。

どの顧客か。

どのサービスか。

どの業務か。

何が原因で、どこを変えれば改善するのか。

そこまで追えるものにしたかった。

そして、

原因が分かれば、

打ち手が変わります。

値上げなのか。

業務範囲の見直しなのか。

資料回収の改善なのか。

AIなのか。

標準化なのか。

担当変更なのか。

教育なのか。

数字を眺めるためではなく、

意思決定するためのダッシュボード。

これが僕たちの目指したものです。

「相手がコミットするなら、僕たちもコミットする」

9月下旬。

開発は、

「作ってもらう段階」から、

実際にスタッフが使い、

改善していく段階へ入っていました。

僕は、

マンスリーをさらに1ヶ月延長しました。

Zeimeeも、

福岡まで来て、

現場に入り込み、

何度も修正してくれている。

だったら、

RICK側も、

データを出す。

スタッフも時間を使う。

必要なコストも負担する。

双方がコミットして、成果が出るところまでやり切る。

そんなプロジェクトにしたかった。

スタッフにも伝えました。

「すごいね、で終わらせない。自分たちの仕事を本当に変えるところまでやり切ろう。」

すると、

岩﨑さんから返ってきたのが、

「全顧問先の効率化達成します!」

という言葉でした。

僕は、

こういう熱量で一緒に仕事ができたことが、

本当に嬉しかったです。

生産性を高めるのは、仕事を詰め込むためではない

生産性を上げる。

AIで時間を削減する。

そう言うと、

「空いた時間に、また仕事を入れるんでしょう?」

と思われるかもしれません。

僕たちが目指しているのは、

それだけではありません。

空いた時間を、

もっとお客様と話す時間にする。

提案する時間にする。

学ぶ時間にする。

新しいことに挑戦する時間にする。

そして、

労働時間そのものを減らすことも、

立派な成果です。

目指しているのは、

高い顧客価値 × 高い時間生産性 × 適正な労働時間 × 高い給与水準

の同時実現。

これは、

RICKが掲げる、

「顧客に圧倒的満足を。従業員に最高に豊かな人生を。」

につながる取り組みでもあります。

「導入」ではなく、「一緒につくった2ヶ月」

約2ヶ月。

決して、

一直線に進んだわけではありません。

こちらのデータが整っていない。

途中で定義が変わる。

使ってみて初めて分かる。

「ここは違う」

「これも見たい」

が次々に出てくる。

そのたびに、

Zeimeeの皆さんが直してくれました。

RICKのスタッフも、

通常業務をしながらデータを出し、

テストし、

意見を出してくれました。

だからこれは、

ZeimeeがRICKに納品したシステム、

という感覚ではありません。

ZeimeeとRICKのメンバーが、一緒につくった経営管理の仕組み。

そう思っています。

そして、

ダッシュボードが完成することもゴールではありません。

数字を見て、

判断を変える。

業務を変える。

顧客との関わり方を変える。

そして、

働き方を変える。

そこまでいって、

初めて成果です。

売上を増やすだけではなく、
限られた時間の中で、より大きな価値を生み出す。

僕たちは、

本気でそこへ経営を変えていきます。

Zeimeeの皆さん、

そしてこのプロジェクトに協力してくれているRICKのみんな。

本当にありがとうございます。

次回は、

もう一つのテーマ。

「AIを活用した記帳業務の効率化」

について書きます。

こちらも、

かなり面白いところまで来ています。


Zeimeeについて

株式会社Zeimee
【税理士・会計事務所のAI導入・開発支援|Zeimee】

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監修:公認会計士・税理士 力丸 宣康

新日本有限責任監査法人を経て独立。現在、力丸公認会計士事務所所長、九州有限責任監査法人理事長。中小企業の税務・会計・財務・経営支援に取り組む。