「うちの商品は、絶対に良いんです。」
経営者の方と話していると、時々そんな言葉を聞きます。
実際に話を聞いてみると、本当に良い商品だったりします。
技術がある。
品質にもこだわっている。
お客様のことも真剣に考えている。
それなのに、なかなか売れない。
僕は、この話を他人事だと思っていません。
僕たち自身も14年間、
「良いサービスをつくれば、自然とその価値は伝わる。」
どこかで、そう考えていたところがあったからです。
もちろん、サービスの品質は何より大切です。
でも今は、
良いサービスをつくることと、その価値が伝わることは、まったく別の仕事
だと思っています。
そして、もう一歩踏み込むなら、
マーケティングとは「売り込むこと」ではなく、価値が必要な人に伝わり、選ばれ続ける仕組みをつくること。
僕は今、そう考えています。
僕たちは「良いサービスをつくる」ことには一生懸命だった
税務顧問。
資金繰り支援。
経営計画。
財務健康診断。
月次の経営会議。
社外CXOのような経営支援。
お客様の役に立ちたいと思うほど、僕たちができることも増えていきました。
一つひとつについて、
「これは絶対にお客様のためになる。」
という自信もありました。
例えば、僕たちが大切にしている月次の経営会議。
僕たちがやりたいのは、試算表を読み上げるだけの時間ではありません。
数字を見ながら、
今、何が起きているのか。
このままいくとどうなるのか。
今、一番考えるべきことは何か。
そして、何を決めるのか。
そこまで経営者と一緒に考える時間です。
僕たちの中では、従来の「月次面談」とはかなり違います。
でも、
「毎月、試算表を見ながら面談します。」
とだけ言えば、その違いはほとんど伝わりません。
そこで気づきました。
価値がないのではない。
価値を、伝え切れていない。
これは、まったく違う問題です。
ホームページを10年ぶりに見直して、改めて気づいたこと
今回、僕たちはホームページを約10年ぶりに大きく見直しました。
その過程で、何度も立ち止まりました。
僕たちは何者なのか。
誰のために仕事をしているのか。
お客様に、どんな変化を届けたいのか。
他の会計事務所との違いは何なのか。
普段仕事をしていると、自分たちなりには分かっているつもりです。
ところが、いざ言葉にしようとすると難しい。
「親身に対応します。」
「経営をサポートします。」
「お客様に寄り添います。」
どれも大切です。
でも、これだけでは、
「なぜRICKなのか。」
までは伝わりません。
サービスを磨くことと同じくらい、
自分たちの価値を言語化することが大切なんだ
と、改めて感じました。
マーケティングは「集客」から始まるのではない
マーケティングというと、
SNS。
広告。
ホームページ。
チラシ。
セミナー。
どうしても「どうやって人を集めるか」という話になりがちです。
でも僕は、その前に考えることがあると思っています。
誰に届けたいのか。
そして、
その人に、どんな価値を届けるのか。
ここです。
例えば、
「経営支援をします。」
だけでは広すぎます。
数字は出ているけれど、それを経営判断に使えていない経営者なのか。
売上は伸びているけれど、なぜかお金が残らない経営者なのか。
会社が大きくなり、一人ですべてを判断することに限界を感じている経営者なのか。
誰に届けたいのかが変われば、同じサービスでも伝える言葉は変わります。
だから僕は、
「何を売るか」の前に、「誰の、どんな悩みを解決するのか」を決める。
ここがマーケティングのスタートだと思っています。
お客様は「商品そのもの」を買っているわけではない
例えば、経営計画書。
お客様が欲しいのは、立派な冊子そのものではありません。
自分たちがどこに向かうのかを明確にしたい。
社員と未来を共有したい。
投資するかどうかを判断したい。
金融機関にも、自分たちの未来をきちんと説明したい。
欲しいのは、その先の未来です。
月次経営会議も同じです。
会議という時間を買いたいわけではありません。
迷っていることを整理したい。
数字から次の一手を見つけたい。
経営判断を一人で抱え込みたくない。
つまり、
お客様が買っているのは、商品名ではなく、その商品によって得られる変化。
ここまで言葉にできて、初めて価値が伝わるのだと思います。
RICKなりに整理すると、「売れ続ける仕組み」は6つの流れになる
僕なりに整理すると、マーケティングには一つの流れがあります。
最初から商品を説明するのではありません。
まず、
「こんなことで困っていませんか?」
と、相手が自分の課題に気づく。
次に、
「それ、自分のことかもしれない。」
と共感してもらう。
そこで初めて、
「こういう未来をつくれます。」
と価値を提示する。
そのあと、相談や診断、セミナーなど、最初の一歩をつくる。
ホームページ、SNS、紹介などを通じて接点を増やす。
そして、本当に必要な方にサービスを提案する。
僕は、この流れを
問題提起 → 共感 → 価値提示 → オファー → 接点化 → 提案
と考えています。
大事なのは、
いきなり「買ってください」から始めないことです。
お客様自身が、
「これは自分に必要かもしれない。」
と気づくところから始める。
売り込むのではなく、必要性に気づいていただく。
僕は、ここにマーケティングの本質があると思っています。
「一つの商品ですべてを売ろう」としない
もう一つ、最近大切だと感じていることがあります。
それは、
すべての商品に同じ役割を持たせないこと。
です。
例えば僕たちなら、
まず知っていただくためのサービスがある。
継続的に価値を提供しながら収益をいただくサービスがある。
そして、高い専門性が必要な経営課題に深く入るサービスもある。
僕はこれを、
入口になる商品。
継続的な収益を生む商品。
専門性・高付加価値を届ける商品。
くらいに分けて考えると整理しやすいと思っています。
無料相談や診断、セミナーだけで利益を出そうとする必要はありません。
逆に、高額な経営支援を、初めて出会った方にいきなり提案してもうまくいかない。
それぞれの商品に役割があります。
お客様との関係が深まっていく流れまで含めて、商品を設計する。
これも「選ばれ続ける仕組み」の一部だと思っています。
発信するときに、僕が今意識していること
僕自身、SNSやホームページで発信する機会がかなり増えました。
そこで最近、特に意識していることがあります。
誰向けなのか。
読むと何が得られるのか。
最初の一文で「自分のことだ」と思えるか。
そして、読んだあとに何をしてほしいのか。
SNSでも、ホームページでも、チラシでも同じです。
どれだけ良いことを書いても、
誰のための情報なのか分からない文章は、なかなか届きません。
逆に、
「これは自分のための話だ。」
と思っていただければ、その先まで読んでいただける。
だから最近は、
「自分が何を伝えたいか」だけではなく、
「相手にどう受け取ってほしいか」
まで考えるようになりました。
発信を続けて、一番整理されたのは自分自身だった
面白いことがあります。
発信を続けると、お客様に自分たちのことを知っていただけます。
でも、それ以上に、
自分自身の考えが整理されていきます。
なぜ、このサービスをやっているのか。
誰の役に立ちたいのか。
自分たちの強みは何なのか。
どんな会社にしたいのか。
記事を書くたびに、自分自身に問い直すことになります。
だから僕は今、
発信そのものも経営だ
と思っています。
広告宣伝だけではありません。
自分たちが何者なのかを言語化し続ける仕事。
それが結果として、お客様に価値を伝えることにつながっていくのだと思います。
良い商品ほど、「説明しなくても分かる」と思わない
つくっている側は、商品のことを誰よりも知っています。
何がすごいのか。
どこにこだわっているのか。
どれだけ手間をかけているのか。
だから、
「これだけ良いんだから、分かってもらえるはず。」
と思ってしまいます。
でも、お客様は違います。
初めて見ます。
専門知識も違います。
そもそも、その商品が必要だとまだ気づいていないかもしれません。
だから、
「お客様が分かってくれない。」
ではなく、
「僕たちが、まだ伝え切れていないのではないか。」
と考える。
僕は、その方がずっと前向きだと思っています。
売れないとき、すぐに商品を変えなくてもいい
売れない。
すると、
もっと機能を増やそう。
もっと安くしよう。
新しい商品をつくろう。
となりがちです。
もちろん、商品自体に問題があることもあります。
でも、その前に一度考えてみたい。
本当に必要としている人に届いているか。
相手の悩みから話しているか。
得られる未来が伝わっているか。
最初の一歩は分かりやすいか。
継続して接点を持てているか。
もしかすると、
商品ではなく、
「価値が伝わる仕組み」の問題
かもしれません。
良いサービスをつくる。そして、選ばれ続ける仕組みをつくる。
サービスの品質を磨くことは、これからも大前提です。
でも、
良いサービスをつくって終わりではありません。
誰に届けるのかを決める。
その方が得られる価値を明確にする。
最初に試しやすい入口をつくる。
継続的に接点を持つ。
そして、本当に必要な方に必要なサービスを届ける。
ここまでつながって、初めてマーケティングになる。
だから僕は、
マーケティングとは、売り込む技術ではない。
と思っています。
価値が必要な人に、自然に伝わる状態をつくること。
そして、一度売ることではなく、
選ばれ続ける仕組みをつくること。
です。
僕たちRICK自身も、まだまだ試行錯誤しています。
ホームページも変える。
サービスも変える。
料金表も変える。
発信も変える。
お客様の反応を見ながら、また考える。
完成することはないのかもしれません。
でも、それでいいと思っています。
良いサービスをつくる。
必要としている人を明確にする。
価値をきちんと伝える。
そして、お客様に選ばれたあとも、その期待を超えられるようにサービスを磨き続ける。
売るためのマーケティングではなく、価値を届け続けるためのマーケティング。
僕は、そんなマーケティングをしていきたいと思っています。
もし、
「良い商品なのに、なぜか思うように売れない。」
と感じているなら、
すぐに商品を変える前に、一度問いかけてみてもいいかもしれません。
誰に届けたいのか。
その人は、何に困っているのか。
自分たちの商品によって、何が変わるのか。
そして、
その価値は、本当に伝わっているのか。
そこを整理すると、次にやるべきことが見えてくることがあります。
監修:公認会計士・税理士 力丸 宣康
新日本有限責任監査法人を経て独立。現在、力丸公認会計士事務所所長、九州有限責任監査法人理事長。中小企業の税務・会計・財務・経営支援に取り組む。
※HPでは「お客様により深く貢献するために、今見直していること」「月次経営会議」の記事へ本文中から内部リンクを入れると、かなり自然です。
